Allstate 社のIT ファイナンスチームが、ビジネス部門からより信頼されるビジネスパートナーへ

“TBM に投資していなかったら、財務部門として遅れを取っていたことでしょう。TBM は変化を促す触媒であり、これを活用することで、私たちは Allstate で求められている、また Allstate にふさわしいリーダーになることができます。”

ジャンヌ・ボルタ (Jeanne Borta) 氏
IT ファイナンスディレクター

エグゼクティブサマリー

保険業界のような競争の激しい業界では、テクノロジーの効果的な活用が長期的な成功にとって重要となります。Allstate 社が正確な情報に基づいて意思決定を行い、最先端にとどまれるように、IT ファイナンスチームは、TBM を活用して IT 投資を今までとは違った角度から分析しました。IT 投資に対する信頼性を高めることで、IT ファイナンスチームは、ビジネス部門にとって、単なるテクノロジーパートナーから、テクノロジーチャンピオンになることができ、適切なテクノロジー、能力、コスト構造を実現することができました。

Allstate 社 会社概要

Allstate 社は、米国イリノイ州ノースブルックに本社を構える保険会社です。Allstate 社は、Allstate、Encompass、Esurance、Answer Financial など多数のブランドを運営しています。プロテクション部門は、自動車保険、住宅保険、その他の損害保険を販売し、ファイナンシャルビジネス部門は、生命保険、退職金、および投資商品を扱っています。

80 年の歴史を持つ保険会社というと、「最先端技術」という言葉は連想されないかもしれませんが 銀行などの規制が厳しい業界と同様、保険業界も二つの異なる側面があります。保険業界は、非常にリスク回避型である一方、デジタル技術の活用による顧客体験の向上を最も早くから実現している業界の1つでもあります。

「私は、長年携わってきた金融サービス業で起きた最大の技術的変化のことを、『消費者へのアップル効果』と呼んでいます」と話すのは、Allstate Technology & Strategic Ventures 社で、SVP とCFO を兼任するロジャー・ケント(Roger Kent) 氏です。「それは、モバイルの機能で、やりたい事を瞬時に利用できることであり、いつでもどこでも好きなときに、それらを行うことができることです。この機能により、すべての企業にとって、消費者行動と消費者とのコミュニケーションが劇的に変わりました」

お客様からのそのような期待値は、保険会社の「安心してお任せいただく」という約束を果たすための新たなビジネス機会となっています。 Allstate 社は、デジタルトランスフォーメーションを推進しており、テクノロジー主導の新機能により、代理店、査定員、およびその他のステークホルダーは、約1,600 万世帯に従来よりも効率的な方法でサービスを提供することができています。例えば、Allstate 社では、QuickFoto Claim を導入しており、顧客はスマートフォンを使って、自動車の写真をアップロードすることで、保険金の請求ができます。また、Allstate 社は、特定の種類の検査にドローンを活用したり、屋根の損傷などの物的損害を検査する技術を使用してリスクと支払いまでの時間を短縮したり、アマゾンのAlexaを利用して、顧客が代理店や契約情報にアクセスできるようにするなど、新しい AI 機能を提供しています。

「1時間たらずで保険金が顧客の銀行口座に入金されたケースもありました」とケント (Kent) 氏は言います。「車で現地に向かい、傷を調べ、顧客に3つの見積りを提出してもらう、という以前のプロセスからは劇的な変化です。これは、顧客にとってだけでなく、私たちにとっても便利で都合の良い方法なのです。私たちの業務プロセスの効率性も大きく高めることができています。」

ファイナンス主導の変革

このような変化に対応することが、Allstate 社のIT ファイナスチームの従来の役割を見直すきっかけとなりました。「今、IT に携われるのは非常にエキサイティングです。なぜなら、この変革に踏み切った時とはまったく異なるレベルの技術力を持った組織を目指しているからです」とケント (Kent) 氏は言います。このために、「IT ファイナンスチームは、管理的な活動から、付加価値を生み出す活動へとシフトしました。私たちは、組織を変革し、我々のビジネスや顧客をより効果的に支援するために、IT 投資判断に関するより多くの知見を提供しています」

「保険業界は、非常に競争の激しい世界です」とIT ファイナンスディレクターのジャンヌ・ボルタ (Jeanne Borta) 氏は言います。「顧客は、私たちとの取引を容易にするために、膨大なテクノロジー投資を期待しています。一方で、一部の顧客は保険をコモディティー商品と捉え、そのコストを抑えたいと考えています。つまり、顧客は、より少ないコストでより多くのものを求め、マージンが縮小される一方で、新しいテクノロジー投資への期待を高めているのです」

かつては、テクノロジー投資は、利益目標を達成するために、短期的な経費削減の対象とされることもありました。「CFOが『Xパーセントのコスト削減が必要』と発言する時、私たちは守りの姿勢になっていました。短期的なスパンで物事を成し遂げようとすると、積極的に行動できません。そのため、リスクと結果について、戦略的に評価できる機会がなくなります。

「そこで、私たちは、何か違うことをする必要があると考えました。厳しく規制された業界に身を置く上場企業として、当社は厳密なコスト管理を行い、精度の高いコストデータを利用した分析が不可欠だと考えました。テクノロジーは、当社の成功にとって非常に重要であり、ITに関わるコストを正確に把握せず、IT がもたらす価値について主要なステークホルダーに十分に説明しないことはありえませんでした」とボルタ (Borta) 氏は言います。

TBM により、IT ファイナンスチームは、IT 投資がもたらす価値を、より効果的に説明できるように

多くの企業が、Technology Business Management(TBM)を活用し、ビジネス部門の主要なステークホルダーに対して、ITコストの説明をしています。TBM には、IT部門とビジネス部門の関係を非常に有意義なものに変える可能性を秘めています。なぜなら、利用するアプリケーション、インフラ、およびサービスのトータルコストを理解することができれば、なぜそのようなコスト構造になっているのか、そしてより重要なことに、テクノロジーの投資判断がもたらす利益を理解できるようになるからです。

「私たちは、IT部門と同様に、ビジネス部門にもテクノロジー活用の推進者となることを望んでいました。」とボルタ (Borta) 氏は言います。「コスト削減するのであれば、正しい判断を下し、潜在的な影響やリスクを理解することが必要です。その結果たどり着いたのが、TBMでした。守りの姿勢から脱却し、主体性を持ちたいと考えていました。IT ファイナンスチームは、ビジネス部門に対して、テクノロジーがもたらすビジネス価値を説明し、テクノロジーについてどのように考え、どのように管理し、将来に向けての実行可能なテクノロジー・ロードマップをどう策定するかを理解してもらいたいと考えていました。そして、適切なテクノロジー、能力、コスト構造を実現することを目指しました」

TBM を通じて、ファイナスチームはよりリーダーシップを発揮できるように変化しました。「これまでの姿勢とは全く異なります」とボルタ (Borta) 氏は言います。「財務、テクノロジー、ビジネスのどの分野のメンバーともより深く協業できるようになり、彼らのニーズを的確に把握し、それらを財務データに反映させることができるようになりました。TBM のおかげで、これまでとはまったく異なる、より協力的な方法で、ビジネス成果の最大化を目指せるようになりました」

「正直、その効果には驚いています」と話すのは、Allstate Personal Lines 社のグループCIOを務めるピート・コリガン (Pete Corrigan) 氏です。「従来の財務の役割といえば、経費を管理し、計画に対しての進捗を把握することでした。そのため、IT ファイナンスチームが初めて TBM の話を持ち掛けたてきた時、私はやや懐疑的でした。それでも、IT ファイナンスチームは、オーナーシップを発揮し、私たちとのパートナーシップのもと、ソリューションの導入に成功しました。このソリューションによって、私たちのビジネスのやり方は完全に変わりました。」

データを活用する

TBM と Apptio を正しく機能させるためには、データが必要です。Apptio のソリューションは、最もシンプルなデータだけでも、活用を開始することができますが、ボルタ (Borta) 氏は、ITとビジネス部門にある複数のデータソースを利用して、TBM のレポーティング機能を立ち上げたいと考えていました。彼女は、CMDB からのデータフィードに加え、IT プロジェクト管理と勤務時間管理に注目しました。

「毎月約80種類のデータフィードをApptio に対して行っていると思います」と彼女は言います。「主なデータフィードは、勤務時間管理、CMDB、そしてインフラストラクチャの利用量に関連するものです。当社のIT 組織には数千人の IT スタッフがいるため、信頼できるデータモデルの構築のためには、IT プロジェクト管理と勤務時間管理データが重要なインプットとなりました。

「Excelは効果的ですが、データを立体的に見ることはできません。その点、Apptioは違います。Excelよりも、はるかに効果的です。実際、プロジェクトレベルおよびインフラストラクチャレベルの利用量に関するレポーティングを自動化して、予測プロセスの精度を高めた結果、約 200 万ドルを別の目的に充てられるようになりました。また、利用量をモニタリングするツールもサンセットできました。」

2016 年初頭に初めてApptio を実装した際、ボルタ (Borta) 氏は、その時点のデータ精度に自信を持っていました。しかし、Apptioを初めて扱った他の多くの顧客同様、彼女もまた驚くことになりました。「当社のインフラストラクチャに関するデータは非常に成熟しており、当社の勤務時間管理はかなり良い方だと思っていました。ところが、実際はそうではなかったのです」と彼女は言います。「サプライヤー関係で大きな欠点があったため、1年目はプロセスの整理に費やしました。今年は、Apptio を使い始めてから1年半になりますが、本腰を入れて取り組んでいます。」

「以前は『これが IT ファイナンスのデータです』と言うだけで、非常に短調で一方的な説明でしたが、これがかなり改善されました。私は今でもIT ファイナンスを担当していますが、より全体的なオペレーションを担当しています。エンドツーエンドの観点で、ビジネス部門とディスカッションをすることができています。私は、もう単なる『IT ファイナンスマネージャー』ではなくなりました。」

– ジャンヌ・ボルタ (Jeanne Borta) 氏、ITファイナンスディレクター

ビジネス部門が IT を最大限活用できるように支援

ビジネス部門がテクノロジーを最大限に活用するためには、まずその仕組みを理解しなくてはいけません。単に IT 部門に資金を投じて、結果を求めるわけにはいかないのです。また、単に IT コストを削減してしまえば、ビジネス部門への悪影響は避けられません。

TBM と Apptio を活用することで、ボルタ (Borta) 氏のようなITファイナンスのプロフェッショナルは、大量のテクノロジーの用語・略語を、ビジネス部門が理解できる用語へと変えることができ、本来の業務に専念できるようになりました。また、TBM と Apptio により、ビジネス部門(およびIT部門)は、ビジネス部門の活動またはイノベーションの能力に大きな影響を及ぼす、クラウドへの移行といった、IT 運用モデルの変更についても完全に理解できるようになりました。

「このソリューションは、社内の IT に関するすべての要素を一か所にまとめる上で、非常に重要な役目を果たしています」と彼女は言います。「現在進めている多数の戦略的判断を実行できるよう、様々な方法でお互いに話し合い、データを統合しています。どうすればクラウドへ移行できるのか? どれくらいのスピードで移行するべきか? 財務への影響は?また、どういった手段があるのか? ビジネス部門にどのような対応を依頼する必要があるのか?」

「TBM、そして IT ファイナンスチームとのパートナーシップが本当に推進しているのは、私たちが開発するプロダクトとサービスに対する理解です。つまり、TCO (総所有コスト)、KPI(重要業績評価指標)、総運用費、そしてビジネス成果に関する理解です」とコリガン (Corrigan) 氏は言います。「そのプロダクトは収益増に貢献しているだろうか? この取り組みは、より優れた顧客体験をもたらすだろうか? こうした観点を持つと、ビジネスパートナーとの会話に変化が生まれます。どこに投資すべきか、どの分野で成長したいかについて、情報に基づく意思決定をすることができるようになりました。」

数字に基づいてストーリーを伝える

ほとんどのビジネス部門と IT 部門のスタッフにとって、スプレッドシートは単なる大量の数字や行、列に過ぎません。ボルタ (Borta) 氏と IT ファイナンスチームは、こうしたデータを Apptio に取り込むことで、これまではうまく伝えられなかったストーリーを伝えられるようになりました。

「TBM は、以前であれば一次元的であった最適化実行計画の枠組みの役目を果たします。」と彼女は言います。「以前は、皆『やれやれ、スプレッドシートを抱えた IT ファイナンスチームがやってきたぞ』という感じで呆れた表情をしていました。今では、より多くの事項が関連付けられています。将来を見据えて改革を進める上で、このことは大きなメリットとなっています。財務データは、テクノロジーのストーリーライン、リスク評価、そしてロードマップと統合されるようになりました。

「年次計画のプロセスを始めていますが、このソリューションが無ければ、以前と何の代り映えもしなかったことでしょう。以前は、単に数字だけの会話をしていました。今では、全ての数字を入れた一回のミーティングではなく、焦点を絞ったミーティングを2回実施するようになりました。1回目のミーティングは、個別のテクノロジーエコシステムのパフォーマンスに関してです。ロードマップはどうなっているのか? クラウドへの移行はいつになりそうか? インフラストラクチャの健全性はどうか? テクノロジーへの投資は本当に必要か? 新しい機能に対する需要はどの程度あるのか? そして、2回目のミーティングでは、テクノロジーのニーズに優先順位をつけて調整した後、具体的な財務目標に焦点を当てます。」

事実に基づいた意思決定

このような質問に答えるため、ボルタ (Borta) 氏は Apptio を使って、利用量、サービス・コンポーネントの単価、そして総IT コストの推移に関する事実を提供しています。初期の取り組みでは、基幹業務 (LOB) のソフトウェアポートフォリオの5%削減に成功しました。

「当社は、非常に大規模な組織です」とコリガン (Corrigan)氏 は言います。「私は2,000を超えるアプリケーションをサポートしていますが、重複が沢山あります。一部プロダクトの利用率は非常に低かったのですが、そのプロダクトを稼働し続ける、または代わりに市場で調達するにはいくらかかるかについて、ビジネス部門に、はっきりと伝えることができていませんでした。Apptio は、複数の領域で使われ重複している機能の特定に効果を発揮してくれました。こうして、想定したよりも低い価値しかもたらしていないプロダクトを停止させることで、プロダクトポートフォリオを統合・整理できるようになりました。このことにより、新しいプロダクトの開発を推進することができます。合理的な目で見た時に、Apptioには即時的な価値があると感じました。」

「以前もこうしたアイディアはいくつかあったものの、その裏付けとなる確固たる証拠がありませんでした」とボルタ (Borta) 氏は言います。「そのため、単に『投資するべきだと思う』『するべきではないと思う』という程度の議論にとどまっていました。これが今では、事実に基づいた意思決定へと進化を遂げています。Apptio のおかげで、様々な開発手法についてレポートを作成できるようになりました。以前のようにスプレッドシートを使っていたら、手間がかかりすぎて無理だったでしょう。」

「新しいポートフォリオのダッシュボードにより、現在と将来の需要を確認できます。また、これも以前はできなかったことですが、リアルタイムのデータを使った分析ができるようになりました。かつては、試すことさえしませんでした。」

– ジャンヌ・ボルタ (Jeanne Borta) 氏、ITファイナンスディレクター

「アプリケーションサービス層の分析は、最も困難であると同時に、最もやりがいがありました」とボルタ (Borta) 氏は続けます。「IT にお金をかけすぎているのではないか?という質問には、確固たる事実がなければ回答できませんでした。別の方法で投資するべきか? 本当にこれだけのリソースが必要なのか? 実際のTCO (総所有コスト) を把握できるように、ビジネスアプリケーションのコストにインフラストラクチャのコストを織り込むにはどうしたらよいか?」

今後について

今は IT のアプリケーションおよびプロジェクト管理ポートフォリオに関する財務データが明らかになったので、次は Apptioにサービスに関するデータを取り込み、ショーバックからチャージバックへと移行する予定です。

「当社のデータモデルは設定が完了しており、データの信頼性も高いです」とボルタ (Borta) 氏は言います。「当初、私たちは主にファイナンスプロフェッショナルとポートフォリオマネージャーに焦点を当てていました。次の段階では、サービスマネジメントのスタッフなど、そのほかのステークホルダーについて考えていきます。目標は、Apptio を非常に使いやすくして、ServiceNow を通じたチケットやインシデントなどへ、ホットリンクで簡単にアクセスできるようにしたいと考えています。次のフェーズでは、各機能の使い勝手の向上に取り組みます。

「最終的には、Apptio から当社の財務会計システムへデータを取り込むことが目標です。現在はショーバック向けに利用しており、分析も順調に行えています。2018 年に利用量ベースのチャージバックに切り替えるまでには精度が上がり、この情報を基に損益計算書を作成することができるでしょう。」

「チャージバックは、IT に関する意思決定に大きな影響を及ぼすことでしょう」とコリガン (Corrigan) 氏は言います。「私たちのような規模の組織では、自分たちが利用しているサービスのコストを把握できていなければ、十分な情報に基づいた意思決定をしているとは言えません。IT 資産またはリソースであっても、その利用に関してこのような透明性を提供できれば、皆が自分の意思決定に対して説明責任を持つようになります。コストがビジネス部門への自動的な配賦として示されると、誰もそれが自分の意思決定によるものだとは考えません。しかし、それがコストや価値を示す勘定項目として表現されると、誰もが異なる意思決定を下すようになるでしょう。」

Additional Resources