IT メトリクスと KPI

ビジネスで最も重要となる基本的な IT メトリクスと KPI の TOP 10 をご紹介します。

IT メトリクスとは?

IT メトリクスは、定量可能な測定基準であり、IT リーダーが IT 業務を効率的に管理する上で重要な指標となります。従来は運用に関するものとされてきましたが、現在の IT メトリクスは、IT 投資が、企業のビジネス戦略や顧客体験、クラウド最適化方針に一致していることを示すものでもあります。IT メトリクスは、CIO がテクノロジーの価値を判断し、IT パフォーマンスの信頼性を確立する上でも役立ちます。

CIO は、IT がもたらす価値を対話によってビジネス部門に伝え、IT が担う影響力と戦略的役割を向上させることができます。測定したパフォーマンスを判断材料として使用し、ビジネス部門との関係を改善し、IT の価値を引き出すことができます。メトリクスの共有によってステークホルダーとの関係構築は強化され、IT リーダーとビジネス エグゼクティブは戦略的なパートナーへと進化します。

George Westerman, Research Scientist, MIT Sloan Center for Information Systems Research

IT リーダーは、IT メトリクスを定義、測定、レビューし、テクノロジーがビジネスにもたらす価値を伝えるための対話の基盤を築くことができます。この対話を促進するため、TBM Council (Technology Business Management の確立と提唱を行う NPO 団体) は、IT 投資とパフォーマンス、デリバリーを評価するための各種メトリクスを確立しました。

IT メトリクスと IT KPI の違い

KPI (主要業績評価指標) は、組織が自らの目標達成を判断するために使用される指標です。KPI は、定義上は全ての指標が「キー」とは言えないため、ビジネス目標達成を測るために必須となる重要な指標の集まりということになります。この指標があることで、チームは価値を最大化し、ビジネス成果に大きな影響をもたらす分野に重点的に取り組むことができます。

IT 部門においては「適切な領域に投資しているか、期待した結果を得ているか、顧客は提供された価値に満足しているか」という質問の答えを得る上で、KPI は非常に効果的です。

遅行 KPI と先行 KPI

KPI は一般的に遅行指標または先行指標に分類されます。遅行指標は、過去の実績を評価します、つまり事後のパフォーマンスを測定します。遅行 KPI は過去に起こったことを評価し、改善のためのヒントを導き出します。

一方、先行指標は将来を評価します。変化を予測し、具体化しつつある傾向に注目します。先行 KPI を使用すれば、チームが課題発生を迅速に認識でき、ビジネス成果にマイナスの影響が現れる前に即座に対処できます。

KPI とメトリクスは大差あるものではありませんが、次のように考えることもできます。メトリクスは、特定の目標達成のために雇用した従業員数を追跡するもの。KPI は従業員数の増加が、問題の解決、売上の向上、イノベーションの促進にどのくらい貢献しているか測定するもの。

IT メトリクスは、IT プロセスにおけるコスト、パフォーマンス、アウトプットを追跡して、KPI をサポートします。有効性を保つために、確立されたベンチマークとよく比較され、これにより KPI の価値にコンテキストをもたらします。この場合、IT メトリクスは、現在のパフォーマンスと目標とするパフォーマンス間のギャップを明らかにし、進捗を追跡し、プロセスの改善がパフォーマンスにどれほど貢献したか示します。

IT メトリクスが重視される理由

測定できないものは管理できない、という言葉があります。確かに正しいですが、通貨単位やパーセント、数字で埋め尽くされたスプレッドシートを目にすると、測定したからといって必ずしも管理が出来ているわけではないこともご理解頂けるかと思います。測定には、ストーリーが見えなければ意味がありません。

優れた IT メトリクスは、事実に基づくメソドロジーによってビジネスゴールへの進捗状況を測定し、データによってストーリーを語ります。IT の年間支出を見るのは簡単ですが、そのデータ ポイントを前年の IT 支出と比較することで初めて、データに意味が生まれます。前者は、単なる測定です。後者は、ストーリーを語るメトリクスです。

適切な IT メトリクスにより、企業が戦略的目標を達成するため、また IT がビジネス成果に貢献するための意思決定の指針となります。IT チームは、ビジネス側の需要の高まりと、減少する IT 予算という矛盾に対処する必要があるなかで、このメトリクスはかつてないほど重要になっています。IT メトリクスは、規律と客観性を有し、テクノロジーがもたらす影響を測定します。

適切かつ影響力のあるメトリクスにより、次のような効果が得られます:

  • 企業にとって重要で優先すべき業務にリソースを集中させる
  • ビジネスの言語でデータを理解する
  • 意思決定を改善する
  • パフォーマンスを改善する
  • 企業の成熟度と共に進化する

誰が IT メトリクスと KPI を使用するか?

さまざまなロールや責任を担う IT リーダーは、IT メトリクスと KPI を継続的に把握することで、多くのインサイトを得られます。コスト、パフォーマンス、イノベーション、ビジネス価値の管理における IT メトリクスの活用例を次に示します:

  • CIO オフィス
  • IT ファイナンス
  • インフラと運用管理
  • アプリケーションとサービス
  • ビジネス リレーションシップ マネージャー

「IT 部門は、ビジネスの成長とイノベーションを支援するために、適切な額の投資を行っているか?」この質問に答えるには、CIO は、総 IT 支出のうちビジネス維持を目的とするランニング コストと、ビジネス成長のためのプロジェクト支出、新たな市場や製品等のビジネス変革に必要となるイニシアチブ投資の比率を計算して追跡するためのメトリクスが必要です。さらに CIO は、同カテゴリーに分類される裁量支出の割合もチェックします。

「IT 部門は、ビジネス需要、戦略、市場の変化に迅速に対応するための財務的なアジリティを備えているか?」IT ファイナンス アナリストは、この質問に答えるために、IT 支出合計に対する変動支出の割合を確認します。その結果、コストとビジネス需要の整合性を高めるために、固定資産と変動リソースのバランスをどこで取るべきかがわかります。「IT コストの構造が固定費に偏っていないか?」「IT 投資のどの部分で、オンデマンド且つ変動性のあるベンダー リソースや外注サービス (クラウドなど) を利用できるか?」

「コスト削減で浮いた資金を、技術負債の返済にあてたり、ビジネスが求める新たな機能に投資する場合、どの部分でコストを調整できるか?」インフラ & 運用管理リーダーは、最適化の可能性を絞り込むために、データ センター、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク容量に関連する使用量と合計コストを常に把握する必要があります。コスト総額を使用量で割ってユニット コストを計算し、その効率性を評価し、ベンチマークや代替サプライヤーと比較します。 

「IT 投資と優先順位は、ビジネス方針に合致しているか?」「重複しているものや利用率の低いものはどれか? 廃止すべきアプリケーションはどれか?」こうした疑問に答えるには、アプリケーションのランニング コストと構築コストを含むポートフォリオ投資の比較を行うことです。このメトリクスにより、インフラストラクチャ アプリケーションおよびサービスの総コスト、ビジネス ケイパビリティ、ハードウェアやソフトウェア・人件・外部サービスを含む外部顧客対応サービスの総コストを把握可能となります。さらに、支出額を使用量で割ってユニット コストを計算すれば、複数選択肢のなかでの相対的な効率性を明らかにすることができます。

「前年に比べて IT コストを削減するために、ビジネス部門に自らの消費行動と IT コストとの関係を理解させるには、どのような支援を行うべきか?」この質問に答えるには、ビジネス部門毎の IT 支出を把握し、サービスごとに分解できるようにすることが必要です。このメトリクスでは、使用量や状況と、ユニット コストを明らかにします。

IT メトリクスはどのように追跡するか?

データは、IT メトリクスの追跡に欠かせない、あらゆるプログラムの土台となるものです。優れたメトリクスを使用するには、適切なソースを特定し、適切なソース データ カラムを統合し、形式を一致させる必要があります。

必要なデータは何か?

IT チームは、まずは、組織の様々な領域から得られる 3 – 5 種類のデータ ソースの集約からスタートします。以下はデータ ソースの一例です:

  • 財務: 総勘定元帳、固定資産台帳、勘定科目一覧、予算
  • テクノロジー: サーバー、ネットワーク、クラウド プロバイダー、ストレージ、CMDB
  • ポートフォリオ: アプリケーション、プロジェクト、人員リソース、ベンダー
  • サービス: チケット、サービス カタログ

どのようにコストを分類するか?

TBM タクソノミーを活用すれことで、企業データと IT コストを紐付けて可視化させることができます。Apptio TBM Unified Model™ (ATUM™) は、TBM Council が提唱する業界標準タクソノミーを使用しています。ATUM は、IT リーダーがテクノロジー投資を適切に管理・可視化するための基準となるコストモデルです。

ATUM のタクソノミーでは、IT コストを共通言語に結びつけ、マッピング ルールに従って分類を自動化します。カテゴリーは必要に応じてカスタマイズまたは拡張が可能です。あらかじめ定義された割り当てルール (コストを消費要素に割り当て、運用データで重み付けするルール) でコストをルーティングする標準モデルも指定できます。

The ATUM Poster thumb

Apptio TBM Unified Model (ATUM) ポスター

Apptio TBM Unified Model® (ATUM®) では、IT リーダーに必要な財務情報を標準化し、テクノロジー投資の構造を可視化します。

各種データ ソースから IT コストを算出し、ATUM の標準カテゴリーに分類化、メトリクスへの割り当てを行い、CIO はダッシュボードで IT 投資構造を一目で管理できるようになります。IT リーダーとビジネス リーダーは、ダッシュボード上で必要なメトリクスの取得と分析を迅速且つ効率的に行えるようになり、IT コストとパフォーマンスを週次や日次ベースで管理できます。

ダッシュボードは、状況の変化に合わせて進化できるデザインが理想的です。例えばメトリクスの進化は次のようなものです:

最初の時点では、IT 部門は、予定通りに開始したプロジェクトの割合を確認するスナップショットだけで十分だったかもしれません。このメトリクスは、基本的な Yes / No でのデータポイントを収集するように構築されます。そして、予定通りに完了したプロジェクトの割合を把握する必要性が、次の段階では生じてきます。更に、予定通りに完了したプロジェクト割合だけでなく、予算範囲内で完了し、予定していたデリバリー範囲を満たしたプロジェクト割合を示すメトリクスが必要となってくる段階に進んでいくでしょう。

このように、IT チームにはメトリクスを一元的に可視化できるだけでなく、組織の進化に合わせてカスタマイズ可能なダッシュボードが必要なのです。

ApptioOne で提供されている Apptio の CIO ダッシュボードでは、サードパーティ メトリクスの標準セットを使用しています。これは TBM Council により公認され、CIO や業界アナリストによって十分に精査されたものです。このビューでは、ビジネス部門、アプリケーション、インフラストラクチャ、財務差異、パブリック クラウド別に、主要コスト メトリクス概要を、経営層が必要とするレベルで示します。

Cost Transparency Hero

IT メトリクスを利用するべき頻度は?

IT メトリクスは、IT 部門の意思決定者がメトリクスに注目したときに、初めて効果を発揮します。IT パフォーマンスについて各ステークホルダー向けに、複数の側面で、IT メトリクス レビューを定期的に実施することが重要です。こうした定期レビューにより、チームは関連するインサイトを引き出し、適切なタイミングで適切に対処できます。

月 1 回のリーダーシップ レビュー

CIO は、月に 1 回の頻度でレポート情報を収集し、組織のパフォーマンスをレビューすることが重要です。部門内の定期的なアップデートがあることにより、全員の認識を合わせることができます。議題としては、この 1 か月に IT で発生したイベントの概要、各種 KPI の傾向、対処が必要かどうかの判断などが考えられます。また、予算と実績の差異や、予想される支出額に対する今後の影響も含まれるでしょう。(Apptio では、この会議について「IT Leadership TBM Review」(ITLTR) というベスト プラクティス アプローチを開発しています。)

四半期ごとのビジネス レビュー

四半期ごとに、CIO とビジネス リレーションシップ マネージャーは、IT サービスを利用しているビジネス部門とのレビューを実施します。IT 部門以外のステークホルダーとの対話により、チームを跨いだ連携を強化します。議題としては、IT 部門がビジネス部門に提供する価値、ビジネス部門の選択が IT コストにどのように影響するか、将来のビジネス優先事項に合わせて IT 投資を調整すべき領域がどこか、に重点を置くことになるでしょう。このレビューは、IT 投資の透明性を保つために不可欠です。ビジネス側のビジネス部門との信頼を築き、IT 部門がビジネス拡大において必要なパートナーであると見なされるようになります。

年 1 回のプランニング プロセス

各年度の後期に入ると、組織はプランニング プロセスを実施し、翌年の目標、戦略、戦術、投資内容を定めていきます。このプロセスにも IT メトリクスは不可欠です。IT 部門の意思決定者は、このメトリクスによって今年度計画の実現可能性を把握でき、次年度に向けた計画調整の基礎情報を得られます。IT リーダーはこの情報により、IT 投資の選択肢における優先順位付けを戦略的に行い、的確な投資判断を下すことができます。

追跡すべき IT メトリクスと KPI は何か?

IT コスト、パフォーマンス、成果を測定するためのメトリクスは、数千種類にも及びます。ただし、重要なのは量より質です。実際メトリクスが多すぎると圧倒されてしまい、生産的ではありません。そうではなく、トップダウン アプローチでメトリクスを開発すれば、IT リーダーは重要なビジネス判断の材料となるデータに集中できます。必須な情報のみに照準を合わせると、IT チームは特定の成果に対する影響を把握し、コミュニケーションしやすくなります。Apptio が CIO を対象に実施した調査において、IT 運営に最適なメトリクスの優先順位を尋ねたところ、次のようなカテゴリー回答が得られました。

Product Image Two Laptops

基本的な財務メトリクス

財務メトリクスは、IT リーダーがテクノロジー支出と投資を追跡する際に有用であり、IT 投資管理に不可欠です。各部署の財務的健全性の管理に貢献し、コスト削減、リソース割り当ての改善、アカウンタビリティの向上を実現するために必要なアクションを明らかにします。

  • 1. IT 予算と実績の比較
  • 2.アプリケーションとサービスの総コスト (TCO)
  • 3.ユニット コストと目標比較

指標 1: IT の支出と計画 (OpEx と CapEx の両方の予算に対応)

IT Investment on R G T Graph

この指標から得られる知見:

  • 想定していた支出額を実際に支出しているか?
  • 計画を上回った、あるいは下回った支出分野は何か?

活用方法

  • 手遅れになる前に想定外の事象を見つけ是正する
  • IT 組織の中にアカウンタビリティの文化を根付かせる

頻度:

  • 月次 + 四半期

例:

IT 支出と計画を照らし合わせることは、年間を通じて予算の遵守状況を管理し、手遅れになる前に想定外の事象を是正するうえで重要な作業です。

例えば、A 社では社外コンサルタントがプロジェクトの完了に予想以上に時間がかかっており、割り当てられた金額を上回る予算を消費しています。その場合、この指標と月次レビューを導入することで、CIO と IT 財務チームは予算との差異を察知して原因を特定し、手遅れになる前に問題を解決できます。さらに、IT チームが年度予測を立てる際にこの指標を使用してシナリオを分析し、一部のイニシアチブやプロジェクトを延期したり、優先順位を変更して調整することで、支出を年間予算の範囲内に収めることができます。

指標 2: アプリケーションとサービスの合計コスト

Graph Application and Service Total Cost

この指標から得られる知見:

  • 想定していた支出額を実際に支出しているか?
  • 計画を上回った、あるいは下回った支出分野は何か?

活用方法

  • 手遅れになる前に想定外の事象を見つけ是正する
  • IT 組織の中にアカウンタビリティの文化を根付かせる

頻度:

  • 月次 + 四半期

例:

IT 支出と計画を照らし合わせることは、年間を通じて予算の遵守状況を管理し、手遅れになる前に想定外の事象を是正するうえで重要な作業です。

例えば、A 社では社外コンサルタントがプロジェクトの完了に予想以上に時間がかかっており、割り当てられた金額を上回る予算を消費しています。その場合、この指標と月次レビューを導入することで、CIO と IT 財務チームは予算との差異を察知して原因を特定し、手遅れになる前に問題を解決できます。さらに、IT チームが年度予測を立てる際にこの指標を使用してシナリオを分析し、一部のイニシアチブやプロジェクトを延期したり、優先順位を変更して調整することで、支出を年間予算の範囲内に収めることができます。

指標 3: インフラストラクチャの単位原価 vs ターゲット・ベンチマーク

Graph Infrastructure Unit Costs vs Target

この指標から得られる知見:

  • 自社の効率性はどの程度の水準か?
  • 自社の効率性を同等の組織と比べるとどうか?

活用方法

  • インソース/アウトソース/クラウドの選択肢を比較したうえで決定する
  • 予算を守ることで、同業他社と比べて効率性が高いこと示す。

頻度:

  • 月次 + 四半期

例:

A 社は、自社のメール サービスのコストとパブリック クラウドによる代替サービスのコストを比較したいと考えています。現状はメール サービスで年間 20 万ドルの支出がありますが、このコスト効果をどのように評価すればいいでしょうか? まず、メールの総コストをサポート対象のユーザー数で割って単位原価を計算します。A 社の従業員は 1,000 人なので、ユーザー 1 人当たりの年間平均メール コストは 200 ドルになります。

このコストを比較することで、競合するメール システムのコストを評価したり、部門ごとのメール コストの差異を確認できます。この分析は外部とのベンチマーク比較にも応用できます。例えば、B 社の年間コストは 10 万ドルですが、ユーザー数は 400 人にとどまります。その場合、ユーザー 1 人当たりの年間平均コストは 250 ドルとなり、A 社のメールシステムの方がコスト効果が高いと判断できます。

また A 社は、支出をさらに評価すべく、ベンチマーク製品の導入を検討した結果、ユーザー 1 人当たりの平均年間メール単位原価は 175 ドルとなることが分かりました。この分析により、さまざまな規模、業種、地域の同業他社との比較による知見を得ることができます。A 社は、自社メールの平均単位原価がベンチマークより高い一方で、一般的な企業よりレベルの高いサービスを提供していることも確認できます。無制限のストレージを提供したり、専用のメール サポート サービスとともに 24 時間体制のサポートや迅速な応答時間を提供している場合、業界ベンチマークは目指すべき目標とはなりません。むしろ、自社とベンチマークとの中間に目標を設定し、コスト削減と価値の高いサービスの提供を志向することができます。

デリバリー メトリクス

デリバリー メトリクスは、プロジェクト実行の成果と、ビジネス向けサービス提供に関する継続的な可視化を行います。これには満足度調査、予算および完了の測定に加え、人材とリソースの調達戦略に影響するデータが含まれます。

  • 4.予算、仕様、計画通りに進んでいるプロジェクト割合
  • 5.ビジネス向けサービスの SLA 満足度

指標 4: スケジュール、予算、仕様が予定通りに進んでいるプロジェクトの比率

IT Investment on R G T Graph

この指標から得られる知見:

  • プロジェクトは効率的、効果的に実行されているか?

活用方法

  • プロジェクトのビジネス ガバナンスを改善する
  • 成功が見込めないプロジェクトを見つけて制御または中止する

頻度:

  • 月次 + 四半期

活用のためのヒント:

この指標のためのデータ収集の手法として、プロジェクト承認フォームを使用する方法があります。このフォームで、利用部門に一定期間内のあらゆるプロジェクトの詳細を提供するように求めます。結果的に、初年度だけでなく、今後 5 年間のプロジェクトの総コストを予測することになります。このデータを分析することで、利用部門はプロジェクト リクエストで予想されるコストを完全に把握できます。一方で、このデータ ポイントにより、利用部門は IT の説明責任を持つこととなり、見積りを改善できます。

指標 5: 企業向けのサービスのサービス レベル契約 (SLA) 達成率

SLAs Graph

この指標から得られる知見:

  • 自社は合意したとおりのサービスのパフォーマンスと品質を顧客に提供できているか?

活用方法

  • 企業向けサービスの責任範囲を満たすようにする
  • 品質低下の発生源を手遅れになる前にを突き止め是正する

頻度:

  • 月次 + 四半期

活用のためのヒント:

SLA が登場した 20 年前には、SLA は IT サービスが期待ほど効果を発揮しないことを証明する手段として使用されていました。現在、SLA は、顧客がコストと引き換えに獲得できる価値を明らかにするために使用されています。さらに、コストの透明性と共に、SLA は価値交渉に欠かせない要素となっています。

IT リーダーが透明性を向上してサービスを需要に合わせようとするようになる中、SLA は、IT 部門とビジネス部門の両者が現在の機能を把握し、ビジネス要件を明らかにし、継続的な改善を進められるように支援することができます。顧客から IT 部門に要件が提示され、IT 部門がどのようなサービスでその要件を満たすかを確立するにあたって、こうした主要な指標を使用することで、関係者全員にその情報を周知し、サービスの整合性を強化して、IT 部門に対する満足度を高めることができます。

イノベーション & アジリティ メトリクス

イノベーション & アジリティ メトリクスは、ビジネス変革に必要となる投資の優先順位を設定し、投資を促進することを目的としています。このメトリクス データにより、ビジネス変革に重点を置くプロジェクト投資、クラウドなどの新機能へのテクノロジー投資をポートフォリオ別に確認できます。

  • 6.運営、成長、変革の IT 投資目的別の比率
  • 7.顧客体験イニシアチブに対するプロジェクト支出割合

指標 6: ビジネスの維持、成長、変革という目的別の IT 投資比率

IT Investment on R G T Graph

この指標から得られる知見:

  • 運用と成長のイニシアチブを比較した場合、IT 予算の優先度が高いのはどちらか?
  • 技術革新に十分に投資しているか?

活用方法

  • 支出を「運用」から「成長」や「変革」の投資へとシフトする
  • IT 支出を戦略的なビジネスの優先事項に合わせる

頻度:

  • 月次 + 四半期

例:

この指標は、IT 支出のバランスを明確化できるという、経営幹部にとって画期的なデータです。まったく異なる 3 つの会社を考えてみましょう。A 社では、IT は戦略的に重要な役割ではありません。IT 予算の約 85% は「現状維持」に回され、組織の成長に投じられる予算は 15% にすぎません。B 社では、予算の 60% を事業運営に、40% を事業成長につながるイニシアチブに投資しています。最後の C 社は、IT 予算の 50% を事業運営に、30% をビジネスの成長に、残りの 20% をビジネスの転換に投資しています。

IT 投資の割合を示す指標により、各社のビジネス目標に対する投資の姿勢が明らかになり、必要に応じて方針転換の際のベンチマークを得ることができます。

指標 7: 顧客向けイニシアチブに対するプロジェクト支出の比率

Project Spend Graph

この指標から得られる知見:

  • ビジネスに影響をもたらすプロジェクトに十分に投資しているか?
  • 顧客体験の優先度を十分に高く設定しているか?

活用方法

  • IT が社外の顧客に適切な影響を与えられるようにする
  • 社内向けの「実験プロジェクト」を明らかにし、できるだけ削減する

頻度:

  • 月次 + 四半期

例:

X 社では、重役や経営幹部から「他社が私たちと容易に取引できるようにする」という声が頻繁に出るようになっています。これを受けて、CEO は、同社の顧客にとっての障壁を解消するためのアプリケーションやテクノロジーを特定するように利用部門に依頼しました。

IT リーダーは、分析アプローチにより、プロジェクトの焦点を指し示し、支出のギャップを強調することができます。こうした指標を使用することで、顧客体験の改善のためにどの部分にテクノロジーが適用され、どの部分でビジネス目標を満たしているかが明らかになります。このデータに基づいて、CIO は優先順位を管理し、バック オフィスの支出と顧客向けの支出のバランスを見極めて、利用部門にフィードバックを報告します。

ビジネス バリュー メトリクス

ビジネス バリュー メトリクスにより、CIO は、テクノロジー投資がビジネス成果にどのように影響を与えたか (与えていないか) を示すことができます。このメトリクスでは、ビジネス ケイパビリティ、ビジネス目標、収益に対する IT 投資の影響を追跡し、その価値を分析します。

  • 8.ビジネス部門別の IT 支出
  • 9.顧客満足度スコア
  • 10.ビジネス イニシアチブ別の IT 投資の割合

指標 8: 利用部門による IT 支出

IT Spend by Business Unit Graph

この指標から得られる知見:

  • ビジネス部門の消費がどの程度 IT コストに影響を与えているか?
  • 各ビジネス部門の消費に伴う IT コストはどれくらいか?

活用方法

  • 消費に伴うコストがどの程度かビジネス部門に示すことで需要の全体像を把握する
  • 過大な支出、過小な支出を明らかにするために異常値を特定する

頻度:

  • 月次 + 四半期

CIO の考察:

利用部門の IT 需要の透明性を得ることで、利用部門の IT に対する考え方が変わります。IT 支出の管理を利用するビジネス部門間で分散させる場合も、すべての IT 支出を CIO に集約する場合も、IT 支出をビジネス部門ごとに分けて見る指標により、新たな知見が得られる可能性があります。それは、この指標が、ビジネス部門と IT 投資の価値、需要、整合性について前向きに協議するうえでの叩き台となるためです。事業パートナーが自らの消費の説明責任を認識することで、大きな効果をもたらすことができます。

Maritz の CIO 兼 SVP の Gerry Imhoff 氏は次のように述べています。「(ビジネス部門は) 私たち IT 部門ではなく、自部門を指し示して、『おい、うちの部署の消費は割り当てを超えているじゃないか。なんとかしなければ』と言うのです。こうした会話は、『おい、高いじゃないか』という不平から、『今あるテクノロジーからさらなるビジネス価値を引き出すにはどうすればいいのか』という相談へと大きく変化しています。」

指標 9: ビジネス部門向けサービスの顧客満足度

Customer Satisfaction Scores Graph

この指標から得られる知見:

  • IT はビジネス部門に十分に役立っているか?
  • 社内の利用者は IT に対してどのような認識を持っているか?

活用方法

  • ビジネス部門側で IT に対して問題を認識しているか確認し、あればそれを是正する
  • IT 部門に継続的に品質改善に取り組む文化を根付かせる

頻度:

  • 年次

活用のためのヒント:

顧客満足度のスコアは、インタビュー、アンケート、メール、フィードバック ボタンなど、さまざまな方法で収集できます。いずれも、顧客満足度を把握するために試行錯誤されてきた手法です。Forrester 以下のような提案をしています。「…最もシンプルかつ顧客志向の方法は、短文式のフォームを使用することです。例えば、要求が満たされた直後のフィードバック メールや、インターネットとモバイル アプリ全体をつなぐフィードバック ボタンを導入します。その後、年に 1、2 回の頻度で、15 問から 30 問で構成される CSAT アンケートを実施することで、より詳細な情報が得られます」

アナリストは、管理エンゲージメントのレベルアップを図り、回答者のインセンティブを設定することで、回答率を最大限まで高めることできると提案しています。

指標 10: 事業イニシアチブによる IT 投資の比率

IT Investment by Business Initiative Graph

この指標から得られる知見:

  • IT プロジェクトは事業上の優先事項と足並みが揃っているか?
  • 戦略的なイニシアチブに十分に投資しているか?

活用方法

  • IT 支出をビジネス上の戦略に合わせる
  • 事業目標に貢献していないプロジェクトを特定する

頻度:

  • 年次

例:

事業イニシアチブには、テクノロジー投資が必要となります。例えば、A 社がプロジェクト成果の改善、モバイル機能の構築、地理的範囲の拡大を重視している場合、IT リーダーはこの指標を使用することで、IT 部門は適切な対象に投資し、こうしたイニシアチブのサポート役を確実に果たせるよう役立てることができます。この指標により、事業戦略との整合性を明確化し、ビジネス目標を達成するための投資を指し示すことができます。

IT メトリクスにおける課題は何か?

質の悪いデータ

「データが揃っていない」これは IT メトリクスや KPI の導入を遅らせてしまう言い訳です。IT メトリクスを設定し、分析と意思決定の促進を図る際には、その正確性、整合性、一貫性、関連性が懸念されることでしょう。質の悪いデータに関する懸念がある一方で、部分的にでもメトリクスを導入することで得られるコスト削減効果と価値だけでも、メトリクスによる可視化を始める十分な理由になります。

データは、現状維持では改善されることはありません。筋肉を鍛えるには運動が必要なように、データを改善するには実際に使用する必要があります。データが完璧な状態になるまで待つことはありません。データを使用しながら、質を改善し、完璧に近づけていくことが大切です。

共通言語の欠如

IT に共通のタクソノミーを適用し、IT・財務・ビジネス部門で共通認識を得ることは、IT メトリクスをビジネス目標に適合させる上で不可欠です。最大の課題の 1 つは、IT ファイナンスのメトリクスが、総勘定元帳から取得されて CIO に提示されるということです。アカウンタビリティを高めるには、IT チームがコスト データを IT 部門とビジネス部門が理解できる言語に変換し、これをパフォーマンス向上へのモチベーションを高めるために使用することが重要です。理想としては、IT 部門がこのデータを使用して投資に関してより適切な判断を行い、ビジネス部門と協力して価値を効果的に伝達するとよいでしょう。

透明性における懸念

多くの IT リーダーには「見せたくない秘密」があるものでしょう。改善すべき非効率な領域には光を当てたくないというわけです。しかし、透明性を持つことが最終的には必要です。第一に、実際にはその状況は当事者が思うほど悪くないこともあります。IT リーダーは、日常的にスパース データに基づいて合理的な判断を下しています。第二に、どの IT 部門にも知られたくない領域はあります。しかし弱点を突き止めて克服することは、ビジネスにとって望ましいことです。

分析の遅れ

データの新鮮さは、それ自体で重要なメトリクスになります。IT チームが総勘定元帳 (GL) を毎月 (またそれ以上の頻度で) 読み込んでコストを確認していれば、CIO は問題に発展する前に不具合を検出できる可能性が非常に高くなります。しかし残念なことに、メトリクスは財務部門との調整が実施されるタイミングで評価されます。つまり、問題が急速に発展し、解決するにはすでに手遅れになっている段階でようやく評価されることが多いのが実情です。

クラウド導入が急速に進む中で、これは由々しき事態です。たった数日で、クラウド支出が制御不能になる恐れがあります。財務とのコスト調整に四半期をかけていると、予想外の支出が発生するリスクが高くなります。CIO は「クラウド投資に 1 万ドルの予算を計上したのに、今四半期の実際の支出は 20 万ドルに達している。どうして誰も指摘できなかったのか?」と思うでしょう。

工数負荷

優れたメトリクスを設定するには手間と時間がかかります。特に、IT コストや価値について正確なメトリクスを計算できる専用テクノロジーがないなら、相当の労力がかかってしまうでしょう。多くの IT リーダーは、正確な IT メトリクスを算出・報告するのに、スプレッドシートなどの汎用ツール、企業の財務システム、BI システムを用いようとして工数負荷の問題に苦慮しています。IT メトリクスを適切なものに改善するだけでも、コストのかかる手間と時間を更に投入しなければならないのです。工数負荷のかかるやり方では、新たな分析需要への対応、ビジネス変化のスピードに対応することが出来ず、不完全なモデルしか得られないようになります。

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