Cargill社のITチームは、ITの価値を透明性高く説明することで、リーダーとしての役割を確立

“利用量に応じてコストを請求されるようになると行動が変わります。当社のTBMの取り組みは、財務の観点によって始められました。事業部門に対して私たちが提供しているITサービスについてわかりやすく説明するためです。この数年間で、コスト関連についてうまく説明できるように様々な取り組みを実施してきました。今では、価値について対話できるようになり、Cargill社の戦略において重要な役割を担うようになっています。”

ジェームス・プレイス (James Pleis) 氏
ITファイナンスリード、グローバルITチーム
Cargill社

エグゼクティブサマリー

過去2年間で、Cargill社は、IT支出のすべてをグローバルITチームが所有・管理するサービスラインに統合しました。グローバルの財務データを集約し、サービス志向のIT請求体系を確立したことで、コストではなく、生み出される価値に基づいて、事業部門と対話するように変化していきました。現在、Apptio IT Planningを利用することで、事業部門の責任者にIT投資に関する説明責任を持たせ、コストではなくIT投資から生み出される価値とイノベーションに注力できるようになりました。リアルタイムでの計画と予測という新たな取り組みにより、ITチームは単なる請負部隊ではなく、組織内での革新的なリーダーへと進化を遂げています。

Cargill社の企業概要

Cargill社は非上場の多国籍企業です。Cargill社の事業内容は、穀物やその他農作物の購入、処理、流通に加え、家畜の飼料や加工食品および医薬品の原材料の製造や販売にまで及びます。大規模な金融サービス部門も運営しており、この部門が同社のためにコモディティ市場の財務リスクを管理しています。

新たな洞察と可視化により、ITファイナンスチームが戦略立案の主導的な役割を担う

コスト要因の分析、予測、計画をリアルタイムで遂行する能力を持たずに、何十億ドルという規模のIT組織を運営することは困難です。Cargill社はその例でした。2014年まで、1,070億ドルという規模の巨大な農業ビジネスは、そのような状態でした。

同社はIT投資をわかりやすいビジネス用語に置き換えて説明することに苦労していました。「手作業による処理やスプレッドシートが膨大に存在していました」と、Cargill社のグローバルITでITファイナンスリードを務めるジェームス・プレイス(James Pleis)氏は述べています。「ITの活用が財務の問題になることがよくありました。つまり、ITについて事業部門に説明するのは私たちの役割だったのです」

常に変化する事業環境を切り抜けていくために、Cargill社は分析力とITの成果をうまく説明する手法を必要としていました。世界の農業ビジネスのバリューチェーンにおいて、同社の競争力を維持していけるよう、チームとして可能な限りの手を尽くせるようにするためです。

「自社のコストについてあまり詳細に把握していなかったため、まずはITファイナンス管理ツールを探し始めました」と、Cargill社のITファイナンスチームでTBMリードを務めるジャン-ウェレム・レイトハート(Jan-Willem Lighthart)氏は述べています。「テクノロジーの観点から会社を前に進めるためには、大きな改善が必要なことがわかっていました。データを向上させる必要があったのです」

Cargill社にとって、問題はデータが不足していることではありませんでした。反対に、データを効率的に利用して問題解決につなげることができていないことが課題でした。「TBMとApptioで分かったことは、利用量などのコスト要因、IT資産データ、CMDBデータなどをITファイナンス計画へのインプットとして使える可能性があることです」とレイトハート氏は説明します。「全世界の業務を標準化できるようなツールやプラットフォームが備わっていることも非常に魅力的でした」

以前のITファイナンスプロセスでは、年次での計画以上の取り組みを行うことができず、さらに、多数のコンサルタントも必要でした。Cargill社がTBMを必要とした最大の理由は、グローバルでIT運用とアプリケーションを一元化し、重複を減らしてコスト削減し、計画プロセスを改善するという当社の戦略でした。

財務データを集約し、可視化を実現

Cargill社がTBMを必要とした最大の理由は、グローバルでIT運用とアプリケーションを一元化し、重複を減らしてコスト削減し、計画プロセスを改善するという当社の戦略でした。その戦略がどれだけ大変なことかを知るためには、Cargill社の業務の規模を理解することが必要です。

常に全世界の20%の食糧がCargill社のサプライチェーン上にあります。同社はコモディティの取引や太平洋横断船舶輸送事業の運営に加えて、世界中で鉱山やプランテーション、穀物倉庫や食品処理工場といった実物資産を所有しています。基本的に、あらゆる食品の精製、資金調達、移動、生産にはCargill社がかかわっています。

この大規模な組織において、支出の抑制と管理を実施しつつ、同時にテクノロジーの提供価値を高めていくためには、IT支出の可視性を大幅に高める必要がありました。IT支出の透明性を高めることで、同社のITサービスマネージャーや事業部門担当マネージャーは、事業部門によるITの利用状況をより正確に予測できるようになりました。その結果、ITの全体的なコストをより適切に管理し、IT投資から得られる価値が高まりました。

「過去には非常に大きな会社の中にITチームがバラバラに存在していました」とCIOのジャスティン・カーショウ氏(Justin Kershaw)は述べています。「今では、ITチームは1つの財務プラットフォームを共有し、1つのグローバルITチームとして、単一の組織体制や理念の下で運営されています。現在、私たちは個別バラバラのITチームではなく、グローバルのチームとして計画を立案しています」

より優れたIT支出の請求データを提示

同社はITコストのチャージバックを実施してきましたが、多くの場合、チャージバックは大まかな配分で(社員数に基づいた計算など)、精緻さに欠けていたため、事業部門の幹部が何か対応できるレベルのものではありませんでした。TBMの導入により、ITファイナンスチームは、ITサービスマネージャーと130人の事業部門担当マネージャーがより統制を利かすことができるように、ITの請求情報を提供できるようになりました。今では、事業部門の業務執行を妨げることなく、サービスの最適化に向けて協働できるようになりました。

「ITの請求情報を見ると、どのテクノロジーが誰に利用されているか、さらにはどこで利用されているかまでわかります」とレイトハート氏は述べています。「このことにより、ITコストを管理する手段と責任をよりビジネスに近いところに置くことができます」 今では、事業部門担当マネージャーによる分析や判断を通して、コスト管理の手法が生み出されています。

レイトハート氏は次のように説明しています。「チャージバックのデータを非常に体系的に利用できるようにし、『仮説検証』のツールも構築しました。事業部門担当マネージャーが、『サーバーの25%を仮想化したらどうなるか?』 『このビジネスをX人のユーザーに拡大したらどうなるか?』 『モバイルボイスポリシーを変更したらどうなるか?』といった仮説を検証できるようにするためです。様々な変数を試すことで、コストに影響を与えられる要因を容易に把握することができます。よって、今では提供価値に基づいた対話を事業部門のパートナーと持つことができています」

提供価値に基づいた会話がTBMの核心です。しかし、これはコストが会話の中心ではなくなったときに初めて可能になります。そのようになって初めて、Cargill社のITと事業ラインの双方が今後のテクノロジーの戦略的価値に注力することができます。

透明性の確保により、優れたIT計画の立案へ

過去2年間、IT部門は積極的にすべての財務データをTBMに統合し、サービス責任者と事業部門担当マネージャーにレポートを提供してきました。「社内の何百人もの人がITの請求情報を参照するようになり、TBMのレポートを利用して、意思決定を行うようになりました。すばらしい成果がただちに現れました」とプレイス氏は報告します。

アプリケーションの合理化やITチームの最適化といった、その他の取り組みと合わせて、同社は過去2年間で2,000万ドル以上のコストを削減しました。

「サーバーコストの配分方法を若干変更し、誤ったサーバーの選択を推奨していた前のモデルを是正することで、コストを500万ドルも削減できました」とプレイス氏は述べています。「TBMは現場にツール・武器を持たせるアプローチをとっており、サービスの責任者、予算の責任者、その他の担当者が、本当の意味で、財務的な観点からビジネスの成果について責任を持ち、理解し、説明できるようになりました。自分自身、自部門のITコストについての情報を知れば知るほど、責任感を持って行動をとるようになり、全体として優れた判断ができるようになりました」

TBMは、サービスデリバリー側のITリーダー達に権限を持たせるだけではなく、Cargill社のITサービスに対する需要の形成にも寄与しています。多くの場合、需要側に大きなコスト削減の余地が見つかるものです。

「利用量に応じてコストを請求されるようになると行動が変わります」とプレイス氏は述べています。「当社のTBMの取り組みは、財務の観点によって始められました。事業部門に対して私たちが提供しているITサービスについてわかりやすく説明するためです。この数年間で、コスト関連についてうまく説明できるように様々な取り組みを実施してきました。今では、価値について対話できるようになり、Cargill社の戦略において重要な役割を担うようになっています」

行動変容の中には、ITが提供する価値を最大化するための新しい取り組みもあります。チームの目標は、仕事量を減らして支出を減らすことではなく、TBMから得た知見と可視性を活用し、次の取り組みを計画することです。

「以前の年次予算プロセスはいつも苦痛を伴うものでした」とプレイス氏は述べています。「必要な情報やコスト配分の一覧を管理できるTBMベースのプロセスが備わっていなかったため、単にコストの話をするだけのために、事業部門担当マネージャーは多くの時間を使っていました。Apptio IT Planningが導入されたことにより、計画や予測についての精度が高まっただけでなく、『計画通りにプロジェクトは進んでいるのか』といった事業部門からの質問にもようやく返答できるようになりました。提供価値に基づいた対話ができるようになり、そこに改善の機会があると考えています」

感情による意思決定プロセスからの決別

150年以上にわたる同族経営の企業として、Cargill社には、家族を大切にする強い文化があります。この文化は重要ですが、会社の成功は事実に基づいた決定ができるかどうかにかかっています。

「当社の文化が私たちにとっての課題でした」とカーショウ氏は述べています。「当社は関係性を重んじる文化で 、悪い意図は持っていなかったとしても、意思決定が数値的な分析に基づいていないことがしばしばありました。TBMのおかげで、数値や分析に基づいた手法で問題解決にあたることができるようになりました。そして、感情を排して、本当に解決すべきものに注力することができるようになりました」

コストの透明性の欠如という問題から解放され、CIOのカーショウ氏は、他者が定めた事業戦略を支えるために単に指示を受けるのではなく、組織を前進させるために力を発揮している、と感じています。

「Cargill社は最近新しいグローバルIT戦略を打ち出しました」とカーショウ氏は述べています。「IT戦略は事業部門がそれぞれの戦略を発表する前に発表されました。経営陣から最初に受けた質問は、『事業部門の戦略が発表される前に、IT戦略を共有するとはどういうことか?』というものでした。私は『時代は変わりました。ITチームが主導的な役割を果たすのです』と返答しました。事業戦略はIT戦略と同期をとる必要があります。なぜなら、私たちの向かう先と会社の向かうべき先が同じであるからです」

このようなアプローチは、経営陣を驚かせることになったと考える方もいると思いますが、実際はそうではありませんでした。カーショウ氏によると全く正反対の反応でした。「経営陣は賛成してくれました」とカーショウ氏は語ります。「これは我々の戦略の成果の一つと言えるでしょう。ITチームはもはや単なる請負部隊ではなくなりました。リーダーシップをとる立場に向かっているのです」

重要な価値である「信頼」を得る

コスト削減、リアルタイムでのレポーティング、ITファイナンスの統合は重要なマイルストーンですが、TBMはカーショウ氏にとって個人的な取り組みでもあります。それは、Cargill社の競争力を維持していくためにも、ITチームを事業部門から信頼されるパートナーに進化させる、ということです。

今では、データが積極的に活用され、革新を生み出す対話が促され、クラウド、デジタル化、データセンターといった新しい戦略を下支えしています。「TBMは対話の中身を変えていくことに貢献してきました。自分たちが必要な数字を把握しており、その数字が正確であることを前提に、分析を徹底してきたからです」とカーショウ氏は指摘しています。

「グローバルITで実施するあらゆる業務は4つの中核的な価値観に根差しています。それは、卓越性の提供、サービスに対するコミットメント、継続的な学習、信頼と尊重です。信頼と尊重という最後の項目がなければ、やるべきことをやり遂げることはできません。自分の業務の数字を把握し、その数字を達成できる人が、ビジネスのリーダーから信頼され、尊重されます。TBMはこの点で非常に役立ちました」

「十億ドル規模の予算をもった部門であったにも関わらず、過去にはITチームはビジネスパートナーとしてあまり信頼されていませんでした」とカーショウ氏は説明します。「今では、私たちの実績は当社のブランドをしのぐものになっています。私たちの実績が信頼の源泉になっているのです」

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